今年もやつがやってくる
夕食後、ゴミを捨てに外に出る。
あいつが後ろから覆い被さってくる。
「待った?」
と言わんばかりに、顔を舐める。
鬱陶しいので振り払うように、部屋に戻ろうとすると、
「行かないで」と腕を掴まれる。
もう少し付き合ってやるか。
今夜のハイライトメンソールは燃えるのが早い。
僕が恋人にするなら迷わず「夏」を選ぶ。
気分が悪くなるまで暑いけど、
遊ぶと決まれば楽しい。
夜になれば、表情が変わって、生ぬるい手で頬を撫でる。
地獄みたいに暑い日は、冷房と戯れるのもいい。
これも夏のおかげ。
四季の中で1番ギャップがあるんだと思う。
色んな表情を持っていて、新鮮で、でも懐かしい。
今年もやつがやってくる。