恋しくなる
ないものねだりという全人類共通の我儘を愛せたなら、と日々考えている。
欲深いと言って終えばそれで終わりだが、布団が気持ち良ければそれで良いほど僕らは単純じゃないということだ。
例えば冬、
僕の好きな食べ物が一杯あって、食欲も旺盛で、幸せである。
しかし、靴下を脱ぐ度、ネバーヤングビーチを聞く度、夜の公園の前を歩く度、
僕は夏が恋しくなる。
さっさと外に干してあるお気に入りのTシャツを着て、あの冷たい缶ビールの、甘美なプシュッ音を聞きたい次第だ。
そんなことを考えながら、大好きなムスタングを抱えて、また眠る。
明日も明後日も欲まみれでいいのだ。
踊ってばかりの国を垂れ流しながら、大好きな友達を思い浮かべて、彼らの試験後の勝利の美酒の味を想像することにしよう。