冬の秘密
寒いですね。
人は冬になると、呼吸する度に寒いと口にします。教室に入ると、「さみー」「今日寒い!」とか分かりきっていることを言いまくる。僕もその一人であなたも例外じゃない。
さみー
僕は冬が嫌いだ。
街を歩けばback numberが失恋を歌ってるし、世に蔓延る阿婆擦れたちは素足を隠すからだ。
面白くない。つまらない。
ましてや横浜には雪が積もらない。
雪だるまもカマクラも作れない、最悪。
雪がない冬なんてただ寒いだけだ。
でもそんな冬にもいいとこがある。
それはみんな楽しくなさそうな、でも内に楽しい秘密を抱えているような素ぶりするとこだ。
身が縮み上がっている少年少女の表情に裏には、年末年始特有の優しい秘密が見え隠れしている。
背中を丸めたサラリーマンの帰る家は、温かい暖房と奥さんお手製のビーフシチューがどんと待ち構えている。
凍える朝を乗り切った学生たちには、一人暮らしのあいつの家で鍋を囲む夜が待っている。
そんな、楽しい、優しい秘密が寒い季節には欠かせない。
電車の中で手を温める人々は今日はなにを秘密にしているのだろう。
そういうことを考えると、冬を過ごす人はちょっと可愛らしい。
僕は今日温かい部屋で冷たい缶ビールを飲む。
冬も悪くない、そうだよな一番搾り。(最近ハマってる)